【小麦粉、粉類】
小麦粉は、お菓子作りのメインの材料です。
小麦を挽いて粉にしたものが小麦粉です。グルテンの含有量の違いや、小麦の品種などで分類され、お菓子作りでは薄力粉を使うことが多いです。
小麦粉の分類
小麦粉は、グルテンの含有量の違いで大きく3つに分類されています。
グルテンとは、水と結合すると、粘り気のある網目構造を生成するタンパク質のことです。
このグルテンの含有量の低い順から「薄力粉」「中力粉」「強力粉」に分類されます。
薄力粉は、一番グルテンの含有量が低く、お菓子作りに使用されることが多いです。グルテンが少ないことによって、混ぜてもグルテンが形成されにく、サクサク、ふわふわなどの軽い食感を作ることに適しています。
中力粉は、薄力粉と強力粉の中間のグルテンの含有量の小麦粉です。作りたい食感によって、薄力粉を中力粉に置き換えて、クッキーならサクサクした食感をザクザクした食感に寄せたり、ケーキのようなふわふわの生地に、もちもちした食感を加えることができます。
強力粉は、一番グルテンの含有量が多い小麦粉です。中力粉と同様、それ以上にザクザク、カリカリ、モチモチとした食感を作ることに適しています。また、サバランや、シュトーレンなどの発酵生地を作るのにも使用されます。
その他にも、小麦の栽培地や品種の違いで、グルテンの含有量や、味などが変わったり、灰分の割合で、等級も変わったりします。灰分とは、小麦粉の外皮側にいくにつれて含有量が増える、焼いたときに燃えずに残るミネラル分のことです。灰分が少ないほど小麦粉の中心の胚乳部分の特等粉ということになります。以下、一等粉、二等粉、三等粉、という分類をします。
粉類の種類
お菓子作りでは、分類で上記した種類の他に、小麦粉を丸ごと砕いた全粒粉、グラハム粉や、小麦粉以外だと、ライ麦粉、米粉、アーモンドプードル、コーンスターチなどがあります。
全粒粉は、小麦の表皮、胚芽を除かずに丸ごと挽いた小麦粉です。食物繊維やミネラルが豊富で、お菓子だとクッキーに使用されることが多いです。
グラハム粉は、胚乳は細かく挽き、表皮や胚芽は粗く挽いて混ぜ合わせた全粒粉の一種です。
ライ麦粉は、小麦粉とは別の穀物のライ麦を挽いて作られた粉です。小麦粉よりもグルテンが少なく、独特の風味があり、豊富な食物繊維とミネラルが特徴です。主にドイツパンに使用されますが、クッキーやスコーンなどにも使われたりします。
米粉は、その名の通りお米の粉です。グルテンを全く含まないため、代用すれば小麦アレルギーの方でも食べられるお菓子が作れます。米粉を使ったお菓子は、サクサクした食感や軽い生地が作れます。
アーモンドプードルは、アーモンドを粉にしたものです。お菓子作りでは、頻繁に使用される材料です。コクを出すために小麦粉に混ぜたり、ダックワーズやクレームダマンド、マカロン、フィナンシェなどに使用されます。
コーンスターチは、小麦粉と違ってグルテンがないため、小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えて、サクサクした食感を出したり、ほろほろと崩れるような食感を出したり、カスタードクリームなどに使用するとなめらかなとろみをつけることができます。
作りたいお菓子や食感によって、粉類を使い分けてお菓子作りができるようになると、楽しそうですよね?
小麦粉の性質
小麦粉には、いくつか性質があり、覚えておくとどうしてこの作業をするのかの意味を理解しながら作業することができるので、お菓子作りの成功率を上げることができます。
小麦粉の性質には、「グルテンの粘弾性」「グルテンと食塩、油脂」「デンプンの糊化」などがあります。
◦グルテンの粘弾性とは、パイ生地など、グルテンが多めの生地に適応され、パイ生地を成型する時に、生地を休ませてから成型しますが、なぜ休ませるかというと、生地を作った直後のグルテンの構造は、しっかりと結びついてバネ状になっており、このまま次の作業をしてしまうと、グルテンのバネを無理やり伸ばすことになり、成型した後に生地が歪んでしまったり、焼成時に大きく焼き縮んでしまったりします。なので、休ませることによって、グルテンのバネの結びつきが緩むので、生地の歪みや、焼き縮みを防ぎ、綺麗な焼き上がりになるということです。
◦グルテンと食塩、油脂の関係について、食塩は、グルテンの粘弾性を高める性質があります。なので、パイ生地などに食塩を加えることにより、生地のグルテンの構造を強化し、より、サクサクした食感にすることができます。
グルテンと油脂との関係は、液状の油脂(サラダ油など冷やしても液状の油脂)と固形の油脂(バターなど)で変わってきます。液状の油脂は、グルテンの構造の隙間に広がり、結合を緩める効果や、他の成分との滑りをよくするため、非常に伸びが良く、紙のように薄く伸ばせる生地を作ることが可能です。
一方、固形の油脂は、粘土のように手で形を変えられる可塑性という性質を持っており、このような状態の油脂は、生地を折ったり、練ったりした時に、油脂がグルテンを分断し、生地の中で薄い層状に広がり、焼成した時にもろくサクサクとした食感になります。
このように、グルテンの状態は、油脂の添加による影響が大きいです。
また、シュー生地のように、グルテンの形成を抑制したい生地は、グルテンが形成される前の最初の段階で油脂を加えるなど、油脂を加えるタイミングでも、グルテンの状態が変化します。
◦デンプンの糊化について。小麦粉の中には、グルテンの他にもデンプンが含まれています。デンプンの糊化に関係がある主なお菓子は、シュー生地とカスタードクリームです。
良いシュー生地を作るためには、グルテンの形成を抑え、デンプンを完全に糊化させ、卵と合わせる必要があります。
バターは完全に溶かしてから小麦粉と合わせることで油脂の性質により、グルテンの形成を抑制することができます。
そして、デンプンを糊化するために必要なのが、水と熱です。小麦粉のデンプンのアミロペクチン(もち米のデンプンの主成分と同じ)に水を加え加熱すると、アミロペクチンの構造の中に水の分子が入り込み、60℃くらいからデンプンの粒が急激に膨らみ、液体の粘度が高くなります。このような現象をデンプンの糊化といいます。
また、デンプン粒の破裂(粘りの元であるデンプン粒が破裂し、中に含まれていたアミロペクチンが流れ出て粘度が低下してコシが切れる現象)が起こるまで、更に糊化を進め、鍋に薄い糊状の膜が張るまで加熱して、完全に糊化させます。
こうすることで、焼成時に水蒸気を逃がさない強力な膜ができて、生地が膨張、破裂することで、あのシュー生地の形になります。
カスタードクリームも、加熱しているとデンプンが糊化してきて、急激に粘りがでてきます。ここで加熱を止めず、更に加熱してコシが切れるまで(デンプン粒の破裂)加熱を続けましょう。こうすることにより、なめらかで、美味しいカスタードクリームになります。
ただし、この2つは、行われている現象は同じですが、デンプン粒の破裂をさせる目的が違います。
シュー生地の方の目的は、水分を維持して強力な水蒸気爆発を起こすこと。粘度と伸縮性を高め、膨らみを保持するため。生地を焼き固め、空洞を固定するため。の3つの目的があります。デンプン粒の破裂が不十分だと、水分が均一に保持されず膨らみが悪くなったり、生地が破れてしまう、しぼんでしまうなど、失敗の原因になってしまいます。
カスタードクリームの方の目的は、なめらかな食感とツヤの実現と、冷めた時に固くなりすぎないようにするためです。デンプンが糊化して粘りがでてきた状態で加熱をやめてしまうと、なめらかさはなく、冷めた時、非常にコシの強いクリームになってしまいます。
以上などが、基本の小麦粉の性質になります。
化学の要素が多いですね。
理解すれば強みになり、自分が行っている工程が分子的にどうなっているのかの想像がつきやすいので、成功率がぐーんとあがると思います。
